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第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

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PRサポーターズ&インタビュー・コラム

ダイバーシティとインクルージョン

2019年5月29日

PRサポーター 事業創造大学院大学 学長 仙石正和さん

事業創造大学院大学は、名前が示す通り大学院だけの大学です。しかも大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とした、専門職大学院です。そこで本学は「研究に基づいた実践、実践に基づいた研究」を理念に掲げ、事業を創造し発展させる高い能力と見識と専門性を備えた人材育成を目指しています。専門職大学院には、本学のようなMBA経営管理修士(専門職)を目指す経営系のもののほか、司法試験を目指す法科大学院、教員のための教職大学院などがあります。

最近の研究で、現在抱えるさまざまな困難な課題に取り組むためには多様性のあるチームの存在が重要ということが分かってきました。多様性のあるチームとは、国籍、人種、年齢、性別、専門などが異なるさまざまな人々から構成され、ある目的のために協力して行動するグループのことです。この多様性ある人材の活用をダイバーシティ(Diversity:多様性)と呼んでいます。この様な多様な人々が対等に関わりあいながら一体化している状態をインクルージョン(Inclusion:包摂)と言います。チーム内のそれぞれの人々の特有の経験、スキルや考え方が認められ、活用される状態のことです。本大学院大学で、大学院生はこの様な環境の中でチーム活動を経験されると思います。それは、日本人、留学生さらにさまざまな専門性、経験を持つ人々が大学院生として集まっているからです。

写真1 理系を専門とする大学院生と座談会(左から、村山康吾さん〈大阪大学基礎工学部卒業〉、筆者、オイドブスレン・ツェツェグガラブさん〈モンゴル科学技術大学卒業〉、五十嵐 浩司さん〈新潟大学大学院農学研究科修士課程修了〉)

写真1は、大学院生と一緒の筆者です。MBAというと、学生のバックグラウンドが文系のイメージが強いですが、バックグラウンドが理系の学生もいます。写真は大学院生と座談会を行なった時のスナップですが、3名の大学院生はいずれも大学時代は理系の学部を卒業してきた学生です。また、写真2は、2019年3月20日の修了式でのスナップです。修了生は56名で、日本人29名、留学生27名でした。現在在学中の留学生は、アジア、ヨーロッパからきており、優秀な留学生です。この様に、国籍、性別、専門などが異なる大学院生が事業計画書などの作成に向けて熱心に議論しながら取り組むダイバーシティとインクルージョンの環境が保たれています。

このような教育環境の中で、本大学院大学では、起業または企業内新企画を実現し、かつその事業を発展させるにふさわしい高い能力と識見と専門性を備えた事業創造実践家の育成を目指しています。事業創造には、アントレプレナーシップ(起業家精神)と独創的なアイディアを考え実行する能力(イノベーションを興す能力)が必要であり、これらはともすると、天賦の才や資質によると考えられてきました。これに対して、本学の附属の新潟地域活性化研究所において、この事業創造能力開発のための、「アントレデザイン塾」(写真3)と「女性起業家育成塾」(写真4)を行なっています。

写真2 2019年3月20日の経営管理修士(専門職)の学位授与式。修了生は56名で、日本人29名、留学生27名。

写真3 新潟地域活性化研究所での「アントレデザイン塾」左からファム・フォン・リンさん(ベトナム)、聞超さん(中国)、高鑫業さん(中国)、張逸さん(中国)、遠藤洋さん、チャン・ティ・タムさん(ベトナム)、李京坤さん(中国)、杉本教授、宇田教授

写真4 新潟地域活性化研究所での「女性起業家育成塾」前列左から池田総長、富山副学長、池田副理事長、後列左からグェン・ティ・キム・ルォンさん(ベトナム)、トゥリ・ジョーフィアさん(ハンガリー)、ラジャディヤクシャ・シャルマリ・シャイレシュさん(インド)、ロバサンジャブ・ナランゾルさん(モンゴル)、ソド・チャンドマニチメグさん(モンゴル)、ファム・ティ・トゥ・チャンさん(ベトナム)、樋口督水さん。

写真5は、2019年2月19日に、シンポジウム「Diversity x Inclusion 〜多様性で新潟を強くする!〜」が開かれたときの案内ポスターです。このシンポジウムの目的は、障がい者を含めて、一緒に働くことにより持続可能な未来を作ろうというもので、持続可能性の未来を創造しようという趣旨に関心が高く会場一杯の参加者でした。私はこのシンポジウムにパネラーの一人として参加させていただきました。現在では、障がい者を弱い者などとして捉えるのではなく、尖った才能を持つ優れた人材として捉えダイバーシティとインクルージョンの環境のためには、その人々はチームに必要不可欠となってきていることを強く感じました。そして、長時間労働ではなく短時間ずつ協働して働くシステムなど気持ちよく共に働ける環境の整備が必要との認識を共有できました。

ところで、2019年4月11日〜12日に、新潟において、1000人以上の全国からの参加者を得て、全国経済同友会セミナー(討論テーマ:新時代へのイノベーション〜ポスト平成の成長戦略を描く〜)が開催されました。最終日の総括において、経済同友会の小林喜光代表幹事は、日本の現状は「今さえ良ければ、自分さえ良ければ、などの雰囲気の“茹でガエル”」状態になっていると分析し、日本の産業界の危機を訴えました。そして、この状況の克服には、だれよりも経営者に期待する、とのメッセージを発しました。経済同友会の代表幹事といえば、日本の産業界のトップのお一人です。この日本の現状への分析が妥当かどうかは議論のあるところかもしれませんが、少なくとも日本の状況は順風でないことは多くの人々が感じたと思います。この様な状況の中で、ともすると産業分野にのみ、注意が向きがちですが、この様な時こそ、芸術、文化の重要性を大切にした、障がい者を含む多様な人々との共同、すなわちダイバーシティとインクルージョンの環境の大切さが増していると強く感じました。そして、芸術、文化の重要性とダイバーシティとインクルージョンが実は産業分野の再生にも必須であると確信した次第です。

写真5 2019年2月19日開催のシンポジウム「Diversity x Inclusion 〜多様性で新潟を強くする!〜」の案内ポスター


仙石正和さん/長野県生まれ。情報通信の教育研究に従事。工学博士(北海道大学)、北海道大学助手、新潟大学助教授・教授、工学部長、理事・副学長。新潟大学名誉教授。2014年より現職。

※役職等は執筆時現在です。

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印刷用コラム:ダイバーシティとインクルージョン(PDF形式1,339KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員