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第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

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PRサポーターズ&インタビュー・コラム

障害者の「書」の楽しみ

2019年4月18日

PRサポーター 新潟中央短期大学 教授 笠井友治郎さん

笠井友治郎教授

短大の学生に毎年、文化祭の「書道作品」作りを指導しているが、私の場合、元々は知的障害者の方々との作品作りから始まったものである。その後、施設の職員とそして身体障害者の方々と作品作りをしてきて、既に30年が経過し自分でも驚いている。何故こんなにも長く続いたのかというと、素晴らしい作品に出会えるからであり、「驚き」があり、「学び」があり、そして楽しいからである。

「風」の書

知的障害者の方々は、とても集中して一生懸命に書くので、文字の線は堂々として逞しく、おおらかで豊やかな独特の情趣があり、媚びや衒いもない、そのままの「素」の魅力がある。形や構成は自分流に書くの
で出来上がりは予想とはかなり違ってたびたび驚きであったりする。作品作りには勿論、手本はない。各自が自分の字を書くのみである。「書」は「習字」ではないので自分の字を堂々と書けばよいだけである。但し、知的障害の方は自分で作品を書こうという気持ちがない場合が多いので、私が皆さんに是非にと「お願い」をして色紙に書いてもらってきた。

「菜の花という平凡を愛しけり」の書

身体障害者の方々の場合は、書きたい言葉を自分で選んでもらって自分の字で色紙に書いてもらっている。但し、文字の大きさや配置について、お願いとしてのアドバイスはするが、予想通りに必ずしもいかないところがまた素晴らしく醍醐味でもある。

書は瞬間の集中力,気合いのような時間である。二度と同じものはできない。「一期一会」のような時間でもある。そして書いてできたものに他者も自分も驚いたりするのである。書のおもしろさは、作品を通して、まだ見ぬ自分に出会う面白さでもある。それが楽しみでもある。障害者の方々の書は型に捉われていないため、意外性と驚きがある実に「うれしい」書である。作品を「花」に譬えると世阿弥のいう「面白き花」であり「めづらしき花」である。そしてそれぞれの「時分の花」の姿があり、作品として花開いている。

「人も咲け 我も咲く」の書

国民文化祭にいがた2019、全国障害者芸術・文化祭にいがた大会は、多くの方々の作品が一堂に会し、様々な個性の「花」を「書」を身近に感じることができる貴重な出会いの機会である。


笠井友治郎さん/新潟県新星学園長、新潟県中央福祉相談センター所長を経て、新潟中央短期大学教授。

※役職等は執筆時時現在です。

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印刷用コラム:障害者の「書」の楽しみ(PDF形式727KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員