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第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

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PRサポーターズ&インタビュー・コラム

急須で淹れるお茶の味をもう一度

2019年3月18日

PRサポーター 冨士美園株式会社 代表取締役 飯島剛志さん

広い新潟県で最北部にある村上市で栽培されるお茶は「北限の茶」として知られています。雪に育まれたやさしい味わいの村上茶を栽培・製造・販売している冨士美園の六代目、飯島剛志さんにお話をお聞きしました。

飯島剛志さん

 村上茶の栽培・製造・販売に携わることになったきっかけは何ですか?

飯島 祖父母の家がお茶をやっていましたが、父は10人兄弟の末っ子でサラリーマンをしていました。伯父が跡を継いでいたのですが、店を畳むという話が出て、父が脱サラして継ぐことになりました。その時、父だけが継ぐであれば店だけ、父と私と二人でやるのであれば茶畑も製造もやるという話になり、当時、浪人中で東京の予備校にいた私も手伝うことにしました。予備校を辞めて、浅草のお茶屋さんに住み込んで3年間、お茶のいろはを勉強しました。
その後、静岡の野菜・茶業試験場で2年間勉強しました。2年生で研究室に配属される際、普段のお茶作りに応用できる実践的な「製茶と仕上げ」を選びました。そこで、村上では途絶えていた手もみの技術も習得しました。手もみを学ぶことによって、製茶の機械の操作も自分の感覚でできるようになります。
その後、村上に戻ってきました。

手もみ茶などに取り組んでこられた成果の数々

寒い村上で栽培されるお茶は、味にどんな影響があるのですか?

飯島 お茶は、世界的に見ても中国南部や東南アジア、インドなど温かいところで育つ植物です。ですから、雪がある地域は適地ではありません。雪が積もりすぎれば枝が折れたり、雪が降らないと寒風でさらされ葉が枯れたりします。でも、村上の雪は多すぎず少なすぎず適度に雪が降る地域でした。適度に雪が積もると雪の下は0度以下になりません。お茶は常緑の植物なので冬でも光合成をしていますが、その時期に直射日光を遮られることで、じっくり栄養分を蓄え、渋味の中に旨味のあるお茶になります。

冨士美園の緑茶
選びやすいように一つ一つ「旨味系」「渋味系」などと味の目安が表示されている。

 お茶の味わいの違いはどういうところで生まれるのですか?

飯島 お茶の品種は農林水産省に登録されているだけでも120種類位あると思いますが、全国的に普及しているのはごくわずかです。村上には新しく植えた品種と、昔から続く在来種があります。今は挿し木で増やすので遺伝子は同じですが、在来種は一株一株遺伝子が違います。お茶は別の遺伝子でないと受粉しないのです。その中で自然と雪や病気に強い個体が残ったのだと思います。
品種の違いでも味わいが違いますが、同じ品種でも肥料のやり方や、土壌・気候風土で味わいが変わってきます。
お茶のおいしさの違いは、茶畑での状態で7割を占めます。製法で補えるのは3割です。

 

 

冨士美園の紅茶「雪国紅茶」
赤いパッケージも美しい。

 紅茶も作られていますが、きっかけは何ですか?

飯島 お茶には大きく分けると紅茶向きのアッサム種と緑茶向きの中国種があるのですが、明治期に村上から輸出していた際、緑茶向きの品種で製造していました。それが、約100年位途絶えていました。
それを2004年に復刻したのが、冨士美園の「雪国紅茶」の始まりです。
野菜・茶業試験場で村上地域の茶業のことを調べる課題があり、その際に紅茶を輸出していたことを知り、その当時作れたのであれば今も作れないことはないのではないかとずっと思っていたのです。野菜・茶業試験場では紅茶の製造研修もあったので、2001年に村上帰ってきて、その3年後にそのノウハウを生かしながら作ったのです。
一番最初は在来種だけで作ったのですが、砂糖を入れなくても緑茶以上に甘みがありました。8月の初めに販売して、お盆前には売切れてしまいました。海外ではアッサム種で作ることが多いので、渋味が多い味わいです。日本で栽培されている品種はほとんど中国種で、海外のお茶の産地よりも日本の気候が穏やかだということも影響して、渋味の少ない味わいになります。

 皆さんにどんな風にお茶を楽しんでもらいたいと思っていらっしゃいますか?

飯島 今は、お茶と言えば冷蔵庫からペットボトルが出てくるのがあたり前で、急須がない家庭が多くなっています。急須で入れるお茶の味をもう一度どこかで味わってほしいと思っています。
生活の様式も昔とは変わってきていますが、家族の共有する時間として、お茶を入れる時間があればいいな、というのが一番の想いです。
お茶を楽しんでみたいという方は、ティーバッグから始めてみるのが一番です。今はティーバッグも味がよくなってきています。
ペットボトルからティーバッグへ移って、そこから急須へという流れがいいと思います。急須で入れるお茶も、あまりこだわらずに気軽に始めてみるのがいいですね。
今は、若い人のほうがお茶に興味を持っていらっしゃいます。村上では小学生にお茶の入れ方を教えているので、子どもたちから大人へ教えるようなこともあります。

冨士美園の緑茶ティーバッグ

毎年、11月から2月に「村上茶ムリエ講座」というものもやっています。村上茶の歴史のお話やお茶のおいしいいれ方を日本茶インストラクターの手ほどきで楽しむことができます。修了者には、後日写真入りの「村上茶ムリエ認定証」を発行します。お茶のソムリエなので、「茶ムリエ」です。
元々は市民向けとして講座をはじめたのですが、今では瀬波温泉の研修や会社の研修、料理の専門学校の授業の一環として講座をすることもあります。

 お茶のお話をする時、飯島さんは楽しそうに微笑まれますね。
今日は、おいしいお茶をいただきながら、いろいろなお茶のお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
ぜひ、たくさんの皆さんにお茶のあるひとときを楽しんでほしいですね。


城下町村上市にある冨士美園
町屋造りのお店を見るのも楽しい。

(平成31年2月8日インタビュー)
※役職等はインタビュー時現在です。

■関連リンク
冨士美園 | 越後村上・北限の茶処 | 六代 飯島剛志の雪国紅茶
冨士美園 (Facebook)
冨士美園 (Instagram)

印刷用インタビュー:急須で淹れるお茶の味をもう一度(PDF形式1,401KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員