メニューをとばして、このページの本文へ


第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

やさしいブラウザ

PRサポーターズ&インタビュー・コラム

高齢者の「食べる力」をつける支援
~いくつになっても食文化を楽しむために~

2019年3月7日

PRサポーター 新潟リハビリテーション大学 学長 山村千絵さん

山村千絵学長

12年ほど前より、自宅から大学のある村上市まで、JRの2路線を乗り継いで通勤しています。村上市は新潟県最北・最東にあり山形県と接する人口約6万人の都市です。新潟駅で北へ向かう特急に乗り換えると、それまでのギュウギュウ詰め車両から解放されて、車窓に目をやる余裕が生まれます。流れる景色は単調に見えて毎日異なり、新しい発見に驚くこともあります。

晩秋から4月頃までの時期は、村上に近づくにつれ、田んぼで餌(籾や切り株から出た二番穂など)をついばんでいる白鳥たちの姿が見えてきます。大学近くにある景勝地「お幕場大池公園」は、新潟県内でも有数の白鳥の飛来地で、白鳥たちは、近くの田んぼとの間を行ったり来たりしているのです。今日はどこに何羽いるのだろう、と毎日ワクワクしながら観察しています。

そんな白鳥たちも春の訪れとともに旅立っていき、その姿は本学を卒業していく学生たちの姿とも重なって、少し寂しい気分にもなります。しかし、白・黒・茶だけの景色に、緑やピンクをはじめ、さまざまな色合いが加わる頃には、本学にも希望に満ちた初々しい顔が揃い、また新しい日々が始まります。

さて、村上駅に降り立ち、改札近くで最初に目に飛び込んでくるのが、天井から吊された塩引き鮭です。地元の小学生たちがこしらえたものもあります(季節によっては、布製の鮭のオブジェのみが吊り下げられている場合もあります)。

村上は、鮭の自然ふ化増殖に世界で初めて成功した地とされています。江戸時代、村上藩の武士・青砥武平治が人工河川「種川」を完成させ、そこで育った鮭が村上藩の財政を潤したといわれています。塩引き鮭は、村上の風土を生かした独特な製法でつくられるもので、吊るして干すことでアミノ酸発酵が進んで熟成され、旨味が凝縮して完成するといわれています。そして、鮭を大切にするこの地では、鮭のあらゆる部位を捨てることなく味わい尽くすことで生み出された百種類以上の料理法があるそうです。

新潟リハビリテーション大学

私は歯科医師でもあり、本学に着任する前は、食べる機能に関する基礎研究を行っていました。平成19年に新設された新潟リハビリテーション大学院大学(平成22年に学部を増設して現在の新潟リハビリテーション大学となりました)に着任したのを機に、市北部の高根地区(旧岩船郡朝日村)に設置されている特殊な食品加工機を活用して、食べる機能が衰えた方向けの食材を開発する研究を始めました。最近は鮭も研究対象の食材の1つとしています。

人は年をとったりして食べる機能が衰えたとしても、子供の頃から慣れ親しんだ、好きな食材を用いたメニューは、ムセたりのどに詰まったりすることも少なく、比較的上手に食べることができると言われています。村上に住む人たちにとって、地域の食文化を構成している鮭は、最も慣れ親しんでいる食材の1つです。その意味でも、鮭は大切な食材と考えられます。

食べる力をつける教室

新潟県北にある唯一のリハビリテーション大学として持つ重要な使命に、地域の方々の健康の維持向上に貢献することがあります。平成27~29年度まで、本学は文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に選定され、「地域高齢者の日常生活機能を向上させるプロジェクト」を実施してきました。その中で「食べる力をつける教室」を立ち上げ、現在も継続して教室を開催しています。私を含め、本領域に詳しい専任教員が、学生教育・研究・管理運営業務の合間を縫って、地域の方々に大学の知を還元しています。高齢者のさまざまな身体機能は、何もしなければ衰えていく一方です。教室や家庭でのトレーニングにより、食べる機能の維持・向上がみられます。

食文化を楽しむためには、食べる力が必要です。いくつになっても、おいしく食べることができるよう、私たちは食文化を活かした食べやすい食材の提供や、食べる力をつける支援を行っていきます。

これら日々の活動等に関する情報は、本学ホームページに開設してある「学長ブログ」を中心に、随時、発信しています。


山村千絵学長の写真

山村千絵さん/平成19年より現在まで、新潟リハビリテーション大学院大学
(現新潟リハビリテーション大学大学院)リハビリテーション研究科長・教授。
平成22年より現在まで、新潟リハビリテーション大学医療学部教授。
平成24年~平成27年まで、新潟リハビリテーション大学附属図書館長。
平成27年~平成29年まで、村上市総合計画審議会市民・厚生部会副座長。
平成27年より現在まで、新潟リハビリテーション大学学長。
歯科医師、博士(歯学)(新潟大学)。

※役職等は執筆時現在です。

■関連リンク
新潟リハビリテーション大学
新潟リハビリテーション大学学長ブログ
文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業
同事業研究成果報告書(平成30年度)
新潟リハビリテーション大学(Facebook)
新潟リハビリテーション大学(Twitter)
新潟リハビリテーション大学(Instagram)
NUR新潟リハビリテーション大学(YouTube)

印刷用コラム:高齢者の「食べる力」をつける支援~いくつになっても食文化を楽しむために~(PDF形式721KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員