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第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

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PRサポーターズ&インタビュー・コラム

誤嚥性肺炎とトロミ自販機

2019年3月5日

PRサポーター 日本歯科大学学長 中原泉さん

中原泉学長
だいぶ前のスナップ写真ですが、今も変わってませんよ、と家内が申しますので…。

江戸後期の思想家の頼山陽は、「五十の児に七十の母あり。この福、人間得ることまさに難(かた)かるべし」と記しました。

人生五十年の時代に、息子は五十歳、母親は古希の七十歳で健在でした。彼は、これ以上の幸せはないと天命に感謝したのです。

さしずめ現代に喩えれば、「八十の児に百の母あり」でしょう。現在、百歳以上の方は、全国に7万人いらっしゃるそうです。近い将来には、女性の1/3は90歳まで生きるということです。文字通りの超高齢社会です。これは、まことに喜ばしいことであり、かつ、たいへん恐ろしいことでもあります。

さて、私の父親は生来頑健で、98歳のとき初めて大病し初めて入院し、2週間ほどして肺炎で亡くなりました。ふつう、多量の抗生物質を打って肺炎を叩きます。すると効き目があって、病人は口を利けるほど元気になります。家族は大喜びするのですが、担当医は決して楽観視していません。

というのは、じきに口の中の細菌にまみれた唾液や食片が、誤って気管支に入ってしまうのです.肺の中は抗生剤で無菌状態になっていますから、そこへ侵入した細菌が、アッという間に全体に広がって死に至るのです。これが誤嚥性(ごえんせい)肺炎の恐さです。

もう30年も前の父親の頃には、摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎は注目されていませんでした。今では一般にも、歯科医師・歯科衛生士の専門的な口腔ケアによって、肺炎による死亡を予防することが知られています。平成16年の中越地震では、被災者の口腔ケアによって、大災害にもかかわらず、その年の同地区の肺炎による死亡率は半減しました。

最近、飲みこむ力の衰えた高齢者や障害者のために、飲料にトロミを加える機能のついた自動販売機が登場しました。ふつうの水でも、トロミをつけると飲みやすくなります。この新しい自販機は、病院や老健施設などに広まることでしょう。

濃い、薄いのトロミを選べる新しい自販機。
東京都小金井市の日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックに、第1号が設置されました。


日本歯科大学,新潟生命歯学部外観画

中原泉さん/東京都出身、歯科医師、医学博士。
1991年より日本歯科大学学長、
1995年より同大学新潟歯学部長、
2000年より2度目の同大学学長。
医の博物館館長。

※役職等は執筆時現在です。

■関連リンク
日本歯科大学
日本歯科大学 新潟生命歯学部
医の博物館
PRサポーター医の博物館のコラム「医の博物館へ行ってみよう!」

印刷用コラム:誤嚥性肺炎とトロミ自販機(PDF形式705KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員