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第34回 国民文化祭・にいがた2019、第19回 全国障害者芸術・文化祭にいがた大会

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PRサポーターズ&インタビュー・コラム

日本一 新潟の花アザレア

2019年2月12日

PRサポーター 新潟県立植物園 園長 倉重祐二さん

新潟市秋葉区でのアザレア生産

なんでも日本一は非常に結構ですね。園芸の世界ですと、新潟県では、県の花であるチューリップの切り花、ボケやシャクナゲの鉢物、それに加えて今月取り上げる日本の90%以上を生産しているアザレアがあります。

アザレアは、かつては西洋ツツジと言われたとおり、19世紀末から西欧や国内で改良された室内観賞用の鉢植えのツツジの総称で、大きくて、豪華な八重咲きの花が特徴です。

新潟県は昭和10年ごろより現在まで全国一の生産量を誇ると共に、数多くの新品種を世に送り出したアザレアの中心地です。

 

 

故郷は日本

関西を中心に自生するモチツツジ

日本の里山には数多くのツツジが自生し、古くから人々に親しまれてきました。江戸中期には余暇の楽しみとして園芸が人気を呼び、ツツジは寛文から元禄年間(1661~1704)に江戸を中心に大流行し、数多くの品種が作出されました。

その後、アジアに派遣された西欧のプラントハンター(植物採集家)が、江戸時代末期に日本を訪れ、花の美しいツツジをはじめサクラ、モミジ、ツバキ、アジサイ、ユリ等を持ち帰りました。

 

 

「ヴェロニカ」(上)と人気の高かった「天女の舞」(マダム・モーリュー)大正2年(1913)横浜植木株式会社園芸植物図譜

ヨーロッパでの改良と日本への里帰り

これらのツツジは、当初イギリスを中心に室内観賞用の鉢物として改良されました。後に品種改良の中心はベルギーに移り、「ベルジアン・アザレア」(ベルギーのツツジ)と呼ばれて欧米で人気を博しました。そして、ツツジは大輪八重咲の豪華な花のアザレアと名を変え、日本にも明治時代に里帰りしました。

アザレアが本県に最初に移入されたのは、明治40年とされます。大正4年ごろ から本格的な生産がはじまり、大正8年に県内ではじめて「洋種躑躅(原名アザレヤインデカ)」10種が通信販売カタログに掲載されました。当時は大苗が10円(現在の価格で1万5千円位)と非常に高価なものでした。

 

 

 

昭和初期のアザレアブームの火付け役となった「王冠」(アルバート・エリザベス)

人気の爆発

当初はアザレアの人気は今ひとつでしたが、昭和4年に「アルバート・エリザベス」が輸入されたことによって状況は一変します。花は中心が白で縁が赤の色合いでサツキのような趣があったため大変な人気を呼び、ひいてはアザレアの全国的なブームを引き起こしました。

本県においても昭和5年から6年の間に販売される品種が60品種と倍増していることからもこの時期にアザレアの人気が高まったことが伺えます。これに並行して県内の苗木の生産量も昭和9年には日本最大の50万本を達成しています。

 

 

 

 

昭和9年の新潟市秋葉区でのアザレア栽培

本の新品種の育成は新潟から

当初、日本で生産されていたのは海外で改良された品種ですが、大正から昭和にかけて日本独自の品種改良もはじめられました。これまでの調査では、小合村(新潟市秋葉区)の長尾草生園が昭和5年に発表した「国華錦(こっかにしき)」が本邦初のようです。同じく長尾草生園の昭和6年の通信販売カタログには、小合村で作出された「天恵」、「秋香鳳(しゅうこうほう)」、「春雨錦」等が掲載されているように、新潟日本のさきがけとして品種改良が進められました。

 

昭和30年代に新潟市の木口氏によって発表されたアザレア「紅葉衣」

戦前から戦後の発展

戦争の影響で昭和16年頃から花卉栽培は困難な状況となり、昭和20年8月の敗戦によりアザレアに限らず多くの園芸植物は滅亡に瀕しました。

しかし、昭和25年ごろには品種数も30を超え、生産量も徐々に増加し、昭和40年代半ばには、新潟市で200万株の生産量を達成し、昭和48年には全国シェアの95%を占めるまでに成長しました。また、昭和50年代後半には、冷蔵処理とわい化剤の利用により、ほぼ通年出荷できる技術が確立しています。

 

新潟県が作出した絞り咲きのアザレア「ダンシングスノー」

新潟は今でもアザレアの中心地

新潟市の木口一二三さんは、昭和37年ごろに「紅葉衣」など10品種ほどのアザレアを発表しています。近年では新潟市の本間正信さんが品種改良に取り組み、珍しい肌色の花を咲かせる「ロマンスパール」、濃紅色の「紅姉妹」などを発表しています。また、新潟県園芸研究センターでは、絞りの花が珍しい「ダンシングスノー」、明るい紅ピンク色の「ももか」や「ほほえみ」等を作出しており、生産者組合とも連携して10年をかけて改良した、これまでにない小さな花がたくさん咲く「ひろか」が来年販売される予定です。

このように、江戸時代に改良された野生のツツジは、西欧でアザレアに変身し、日本里帰りした後、新潟で大きく発展しました。現在でも全国の90%以上の生産量、また新品種の育成の両面で日本一の座を維持している新潟県は、正にアザレアの中心地と言えるでしょう。

 

新潟県立植物園アザレア展

新潟県立植物園のアザレアコレクション

このような新潟県に関わりの深いアザレアを、新潟県立植物園ではアザレアを国内外から収集し、貴重な遺伝資源として保存するとともに、新潟県や生産者の品種改良の親を提供するなどのお手伝いをしています。現在日本最大の250品種あまりを保有しています。

2019年開催の企画展示「にいがたの花 アザレア」(平成31年1月30日(水)~2月24日(日))では、1800年代の古品種から最新品種まで日本最大規模の120品種1,000鉢のアザレアを公開、アザレアとはどんな植物か、現在全国の生産量の9割を占め、渡来以降日本のアザレア生産をリードしてきた新潟県での栽培や歴史、またアザレアの「今」の解説も行いました。


新潟県立植物園/新潟市秋葉区金津186番地
新潟県立植物園の園地は無料でご利用頂けますが、観賞温室のみ入館料が必要です。
観賞温室の開館時間 9時30分〜16時30分
観賞温室の休館日  月曜日(ただし、月曜日が祝日の場合は火曜日)
詳しくはお問い合わせください。(電話 0250-24-6465)

※開館時間等は執筆時現在です。

■関連リンク
新潟県立植物園

印刷用コラム:日本一 新潟の花アザレア(PDF形式1,233KB)
PDF版デザイン協力:新潟県タオ国際交流員